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『第五輪の独り言』その2。

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修論発表会1週間前 ~Fire Walk With Me~

卒論は、論文を1週間前に学年の担当の先生に渡し、チェックして貰うだけですが、
修論は、修論を審査して下さる教授達に論文を渡さなければならない。

実は、この教授達に渡すのが第一関門である。
教授達は大抵忙しく、あっち行ったり、こっち行ったりで、なかなか捕まるものではない。
その我が学科の誇る教授達の中から、この日のうちに、指定された3人を捕まえなければならない。

そこで、私は朝早くから大学に行って、教授が大学に来た所を襲撃することにした。

発表会1週間前、早朝──。
1コマ目に授業がある学生よりも早く大学に向かう。
その道中、三教授の1人、S教授と出会う。

私「あっ……、おはようございます」
S教授「おはよう」

あいさつの後、すれ違い、大学から遠ざかっていく教授。

って、何処行くの!?

……いや、まぁ、良い、あの教授なら直ぐに戻ってくるだろう。
普段どおりなら……。

そんなこんなで大学到着。
早速、教授の部屋を廻る。

誰もいない。
これなら、待っていれば、そのうち来るはず。

三教授の1人の研究室の"学生の在室状況の紙"を見ると、大学院の友人のマグネットが"在室"の所に置かれていた。
朝早くから来ているとかではなく、たぶん、昨日から泊まり込んでいるのだろう。

寝ている可能性もあるので、ゆっくりドアを開けてみる。

起きてた。
今、帰る所らしい。
教授は、今日は授業があるはずなので、そのうち来るらしい。

玄関で待っていても良いが、寒いので、一度、私の研究室に戻る。

電気ポットから、お湯をもらって、お茶を飲んでいると、足音が聞こえた。
三教授の1人、Y教授は此処と同じ階に部屋を持っている。
が、この階は他の階と比べても特に、いろんな先生が通るため、断定はできない。

耳をすまし、足音から、相手の位置を推測する。

足音、開錠の音、足音、本?が崩れる音、「あー」という叫び。

Y教授だ!!
研究室のドアを勢い良く開け、教授の部屋へと走る。

1人、クリア!!
残る教授は2人。

自分の研究室に戻ると、携帯電話が鳴った。
メール、差出人は先程帰った友人。
内容を要約すると。

帰る途中で、T教授を見た。
もうすぐ大学に着くと思われる。

おぉ!!何という素晴らしい情報!!
感謝のメールを送り、学科棟の入口は寒いので、T教授の研究室前のエレベータで陣取る。

数分後、エレベータの扉が開いた。

2人、クリア!!

残るは朝、すれ違った教授だ。
いつもどおりなら直ぐに戻ってくるのだが……。

自分の研究室と、S教授の部屋を何度か往復し、遂にS教授の部屋の明かりが着いた。
ノックをすると、「はい」という返事が聞こえた来た。
ドアを開けると……。電話中だった。

ひょっとして、さっきの返事も電話の方?
ゆっくりとドアを閉めた。

10分後、もう一度、S教授の部屋を訪ねる。

終ったぁ!!
次は翌週の発表会。
ここから、発表用のパワポ作りが始まる。
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